第一話 幻想郷スタジアム

3/10
前へ
/145ページ
次へ
ここ数日の間で急に現れ、昔からあったようにそこに佇んでいた。 球場と呼ばれ、打ち返し遊び用の広場らしい、と皆は聞いていた。何度か巫女二人や隙間妖怪や閻魔までもが視察に訪れていた。 大妖精は一度だけ入った事がある。もちろんコッソリと。 その時、球場の大きさと広さに驚いた。そしてある願望を抱く。 あそこでプレーをしてみたい。 だが、巫女達は許してはくれないだろう。だが大妖精は諦め切れなかった。 「まーたアレ見てるよ。そんなに見てて楽しいもんかねぇ」 チルノは詰まらなそうに愚痴を零した。 ちょうどその頃、球場のロッカールームでは巫女や妖怪、神達が集まって話していた。 「で、どうすんのよ。この建物」 不機嫌そうにベンチに腰掛けている紅白巫女の博麗 霊夢。その言葉に答えるように扇子の開く音がした。 「今回は異変。あなたの仕事でしょう?」 隙間妖怪の八雲 紫は開いた扇子で自分を扇ぐ。まるで他人事のような態度だ。だが、霊夢は溜め息混じりに言う。 「アンタが居るならサッサとスキマでこれ送っちゃってよ」 「簡単に言わないでよ」 「出来ないの?」 「異変だからねぇ」 するとあるひとりの少女が意見を出した。 妖怪の山の風祝、東風谷 早苗だ。やや固めのボールを霊夢に放った。 「なら野球をしませんか?」 早苗の一言で三つの球団が出来た。後に幻想郷リーグ異変と呼ばれ、稗田 阿求の歴史書に書かれる事になる。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加