28人が本棚に入れています
本棚に追加
「おーい、大ジョブか」
金髪に大きなサングラスの男が顔を出してきた。
「海がダイブ荒れてるみたいだな。全くエライ揺れだぜ。ジョーちゃんキィーつけな」
金髪男はそう言って私に笑いかけた。
ん?
この顔、どっかで見たことある。
整ってはいるんだけど妙に癪に触るこのソース顔。
「あの、私たちどこかでお会いしたことがありますか?」
「えっ、ジョーちゃん。それって、もしかしてナンパ? でもってこの船は難波なんちって」
おい、殴るぞこのやろー。
今のはほんとにイラッときた。
「ジョーちゃんはきっとオレを見たことアンだよ。オレはネーけど。ほらオレ、有名人だから」
そう言って金髪男は得意気に自分を指差す。
「あー、あんた。あれだろ、あれ。あのほらええと」
ようやく起き上がった鷲尾が大声を上げる。
「あれ? 何だったかな、テレビで見たんだが……」
何ともどかしい中年だ。
「オッサンは黙ってろよ。オレはこのジョーちゃんと話してんだから」
金髪男は鷲尾の胸ぐらを掴む。
ぐへっと、鷲尾は声を上げた。
最初のコメントを投稿しよう!