2、桜の島と奇妙な客

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「おーい、大ジョブか」 金髪に大きなサングラスの男が顔を出してきた。 「海がダイブ荒れてるみたいだな。全くエライ揺れだぜ。ジョーちゃんキィーつけな」 金髪男はそう言って私に笑いかけた。 ん? この顔、どっかで見たことある。 整ってはいるんだけど妙に癪に触るこのソース顔。 「あの、私たちどこかでお会いしたことがありますか?」 「えっ、ジョーちゃん。それって、もしかしてナンパ? でもってこの船は難波なんちって」 おい、殴るぞこのやろー。 今のはほんとにイラッときた。 「ジョーちゃんはきっとオレを見たことアンだよ。オレはネーけど。ほらオレ、有名人だから」 そう言って金髪男は得意気に自分を指差す。 「あー、あんた。あれだろ、あれ。あのほらええと」 ようやく起き上がった鷲尾が大声を上げる。 「あれ? 何だったかな、テレビで見たんだが……」 何ともどかしい中年だ。 「オッサンは黙ってろよ。オレはこのジョーちゃんと話してんだから」 金髪男は鷲尾の胸ぐらを掴む。 ぐへっと、鷲尾は声を上げた。
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