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「何だ何だ。うるさいぞ、人の貴重な睡眠を妨害するのは、公序良俗を著しく妨げる行為だぞ」
別の早口な声が聞こえて、七三頭の男が後ろの席から顔を出した。
「むっ、それは刑法208条暴行罪に当たる不法行為じゃないか。その小太りの紳士の首が締まっているぞ」
七三頭は、金髪と鷲尾を見て語り出した。
「何だよ。アンたは弁護士かよ」
「そうです、私は鷹梨智人(たかなし・のりひと)と申しまして弁護士法4条が定めるところの弁護士です」
鷹梨のスーツの胸元には弁護士バッジが光っていた。
「ところで、そう言う君はロックバンド『多孤夜鬼』のボーカルのTAKUYAじゃないか」
鷹梨は黒渕の眼鏡をずり上げた。
「『多孤夜鬼』はロックじゃなくてパンクだ。それに俺の名はTAKU★YAだ。ホシがハインだ。ホシが」
「そのホシをどうやって喋り言葉で表せっていうんだ?」
鷹梨は不満そうに呟く。
「確かにそれもソウだな。オレの本名は鳩ヶ谷五郎。ヨロシク」
金髪男は有名なミュージシャンのようだ。だから見たことあったわけだ。
しかし、本名鳩ヶ谷五郎って……。
「本名はたくやじゃないんだな」
探偵はボソッと言う。
「あっ、何だよ。ワリーかよ」
鳩ヶ谷は探偵を睨み付ける。
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