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クルーザーが島の小さな船着き場に停まると、私たちは順番に島へと降りていった。
驚いたのは、私たち6人が島へと降り立つとクルーザーは、また海へと帰ってしまったことだ。
どうやら最初から、そういう話になっていたらしい。
私たちは三日間この島で過ごし、四日目の朝、再び迎えに来るクルーザーに乗って帰ることになるのだ。
「これこそ完全なクローズド・サークルだな」
探偵は、そう呟いた。
そうだ、クローズド・サークル。
惨劇が起きるにはお膳立てが出来すぎてる。
私は他の5人の顔を一通り見回した。
戸井暦探偵を始め、大きな鼻をしきりに撫で回す鷲尾、眼鏡を直す鷹梨、ギターケースを担ぐ鳩ケ谷、そして黙り込む謎の大男……。
彼らは何故、この島に集められたのだろう?
彼らは、職業も性格も完全にバラバラだ。
また、彼らは互いに面識はなく行きのクルーザーが初対面だったようだ。
今の私にとって鍵となるのは、博士からの招待状だけだ。
こっそり拝見したその手紙には、ただこう書かれていただけだった。
『来たる私の誕生日を旧知の皆様で祝いたく思いました。皆様のお越しをお待ち申し上げております。
桜の島の鳥の館の主』
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