3、鳥類館と鳥居博士

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少女は一同を見回すと、私のところで視線を止めた。 「貴方はどなた? 私は貴方をお招きしてはおりませんわ」 少女の大きな瞳が私へと真っ直ぐ向けられる。 何だろう? 私は、その瞳に吸い寄せられるように体の自由が効かなくなってしまった。 口を開くが、パクパクと開けたり閉じたりするだけで全く声にならない。 蛇に睨まれた蛙、いや、コンドルに睨まれた小鼠といった気分だ。 「彼女は定禅寺琴美、僕の同伴者だ。一人くらい増えてもいいだろう、アヤ?」 探偵の妙に力んだ声がした。 ……アヤ? 探偵はこの少女をアヤと呼ぶのか? 少女の視線が私から外れた。 「玲、久しぶりですね。何年ぶりかしら?」 そう探偵に言う少女の声は変に馴れ馴れしい響きがした。 「君がこの島に籠もって以来だから、十年ぶりになるな。全く君は恐ろしいくらいに変わらないね」 探偵は吐き捨てるように言う。 「コトちゃん、彼女がこの島の主人、鳥居彩子博士だ」 この少女が鳥居博士……? 私には目の前の博士はどう見ても十代の少女にしか見えなかった。 鳥居博士は十年も前にこの島へ移り住んだのだ、若くとも三十代のはずだ。 彼女はこの島に籠もった時に、時間の流れからも逃れてたとでも言うのか? 「定禅寺様、突然のご訪問を歓迎します。さぁ、皆様私の館へ案内しますわ」 彼女はくるりと後ろを向いた。 新緑の色をした髪がふわりと舞い上がった。
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