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「コトちゃん、何で君がここにいるんだ?」
探偵は大きな荷物を下ろすと、嫌そうに私の顔を見つめた。
「探偵、あなた鳥居博士って人に会いに新潟まで行くんでしょ」
「えっ、何でそれを!? さてはコトちゃん、手紙を見たな」
探偵は顔をしかめる。
「ええ、見ました。だってあの手紙を見たときの探偵、絶対普通じゃなかったから」
そう、私は探偵の様子が気になってわざわざついてきたのだ。
「君は僕のプライバシーに土足で上がり込む気かい?」
「あんただって、失恋で傷ついている私の家に勝手に上がり込んできたじゃない。その趣返しです」
「あれは、だから君が呼んだんじゃないか」
探偵は本当に困った表情をする。
「それに、いつもなら嫌でも私の周りにまとわりついてくるのに、今回だけそんなに拒むのも怪しい。第一、探偵一人じゃ切符だって買えないでしょ」
私は探偵を睨む。探偵の目線に合わせるには、かなり背伸びをする必要がありなかなか大変だ。
「切符くらい僕だって買えるさ。それに、僕は助手は持たない主義なんだ」
「助手じゃなくて保護者です! とにかく探偵一人で新潟なんて絶対ムリなんで私は同行します」
そう言って私は背伸びを止めた。足の裏が吊りそうになったのだ。
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