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『ねえ……君の眼は、とても奇麗な色をしているね……』
遥か昔、そう言われた。
『……まるで、闇夜に妖艶に輝く、あの丸い月のようだよ』
そう、その日はとても美しい満月で。
『紅い月は禍々しく不吉であるとよく言われるけれど、君の“月”はとても奇麗だ』
そう言って、“あの方”は私の頭を撫でてくれた。
『……よし、決めたよ』
其れは、とても懐かしい記憶。
『何をかって?……君の名を、さ』
もう、手の届く事の無い、大切な思い出。
『良いかい?君の名はね……』
嗚呼、私の愛しい――――……。
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