弐 名前

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『ねえ……君の眼は、とても奇麗な色をしているね……』 遥か昔、そう言われた。 『……まるで、闇夜に妖艶に輝く、あの丸い月のようだよ』 そう、その日はとても美しい満月で。 『紅い月は禍々しく不吉であるとよく言われるけれど、君の“月”はとても奇麗だ』 そう言って、“あの方”は私の頭を撫でてくれた。 『……よし、決めたよ』 其れは、とても懐かしい記憶。 『何をかって?……君の名を、さ』 もう、手の届く事の無い、大切な思い出。 『良いかい?君の名はね……』 嗚呼、私の愛しい――――……。  
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