朝の保育園

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近所に保育園がある。乳幼児から小学校に上がる前までの年齢の子供を預かっている。幼稚園のように送り迎えのバスがあるわけではないから、出勤前の両親が送り迎えしている。特に朝は、八時前後に集中して、登園してくる。ママチャリでやってきたり、手を引かれてやってきたり、背中におんぶされてやってくる。共通しているのは、保育園の門をくぐるまで、子供たちに触れていて、話しかけていることだ。平日は当然のごとく、一緒にいる時間などほとんどなかろう。触れあうこと、声を掛け合うことで、お互いに安心感を感じているのだろう。ママチャリで背中に赤ちゃんを背負うスーツ姿の母親は信号待ちしている間、いつも赤ちゃんの足を触りながら、歌を歌い続けている。『あなたのことはいつも思っているの。誰よりも愛しているの』と伝えているかのように見える。保育士に預ける際にはギュッと抱き締める。この姿には切なさも感じるが、親にも子にも『今日1日無事でね』と願う。そこへ、手をつないで歌を歌う父と息子がやってくる。この二人はいつも楽しそう。別れ際に息子は『お父さん、お仕事がんばってね』と小さな手を振る。そして、父はネクタイを締め直しながら、『お前もな』と返事をする。それぞれの朝のスタート。別れ際の切なさを感じながら、僕はいつもこの光景に元気をもらっている。
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