プロローグ

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私はこの子たちを愛していない。 二十八で娘を出産し、早々に籍を入れた。それから九年が経って、息子を出産した。今日で、息子は七歳の誕生日を迎えたが、特に祝うことはせず、普通に日常を過ごそうとしていた。 この子達を愛していない理由は、明白にわかっている。一年前に私たちを捨て、浮気相手と蒸発したあの男に似ているからだ。少しは愛があったんだろう。あの男は、しばらく生活ができるくらいのお金を残して蒸発した。 生活費を、私の弟が少し出してくれているが、弟だってそんなに裕福な暮らしをしているわけではない。だから少しでも生活費を浮かせるため、家賃の安い、古いアパートに引っ越した。 「光輝がいじけてるよ」 娘が私の耳もとで言った。 「なんで?」 「誕生日なのに祝ってくれないからだと思う」 視界には部屋の隅々まで映っている。息子は部屋の片隅で、膝を抱えてうずくまっていた。 「はあ……」 思わずため息を吐いた。この狭い部屋では小声でさえも、嫌でも耳にしてしまう。息子には私のため息が聞こえていたに違いない。
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