エリ

3/4
前へ
/42ページ
次へ
まだ、男の子か女の子かもわからないうちから買ったベビーベットに、そっと小さなサクラを仰向けに寝かせる。 目を瞑ったまま、小さな手足をモゾモゾとバタつかせて、何かを訴えるようにそれを続けている。 沸騰したやかんのお湯を、ポットにうつしかえ、少し慣れた手付きで哺乳瓶に粉ミルクを計量し、丁寧にポットから注いだ。 水道の水で哺乳瓶を冷やしながら、手首にミルクをかけ温度を確かめる。 「サクラちゃん、おまたせ~」 美味しそうにコクンコクンと、上手に舌を使ってミルクを飲んでいる。 「いっぱい飲んで、たくさん笑って、大きくなってね」 エリは、夢心地でミルクを飲むサクラを見つめながら、そう言った。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加