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まだ、男の子か女の子かもわからないうちから買ったベビーベットに、そっと小さなサクラを仰向けに寝かせる。
目を瞑ったまま、小さな手足をモゾモゾとバタつかせて、何かを訴えるようにそれを続けている。
沸騰したやかんのお湯を、ポットにうつしかえ、少し慣れた手付きで哺乳瓶に粉ミルクを計量し、丁寧にポットから注いだ。
水道の水で哺乳瓶を冷やしながら、手首にミルクをかけ温度を確かめる。
「サクラちゃん、おまたせ~」
美味しそうにコクンコクンと、上手に舌を使ってミルクを飲んでいる。
「いっぱい飲んで、たくさん笑って、大きくなってね」
エリは、夢心地でミルクを飲むサクラを見つめながら、そう言った。
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