第1章 Vol.1 日常

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「敬介だって、寂しいから遊んでんじゃないの?」 自分の考えを俺に押し付けるな。 「残念ながら違うな。欲を満たす為ってのが理由だ」 「だったら、お金出してそう言う場所に行けば?」 乗り出していた体を、今度は背をソファーに預け、ローブの隙間から見える白い足を組みながらサラッと言ってのける姿に余計腹が立つ。 こういう関係にあったお前が言う事じゃないだろ。 「お前は何が言いたい?」 「本当に愛おしいって人の傍にいるのはいいものよ。私じゃ、それを敬介に教えてあげる事は出来なかったけど、早くそういう人、敬介も見つけられると良いわね」 「それは惚気か? それとも説教かよ」 「う~ん、両方?」 くだらない。 自分が幸せ見つけ途端に世話好きになるとは……。 「そんな風に思えるのも妥協したのも、所詮、相手が金持ってるからだろ? 矛盾してんだよ、お前の言ってる事は」 人間なんて欲の塊だ。 それを汚いってどっかで思ってるから、人はその姿を隠すんだ。 顔がいいから、金があるからって理由で、自分を着飾って近付いて来る女狐共がいい例だ。 そんな女、昔から腐るほど見てきた。 里美だって、その中の一人にしか過ぎない。
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