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拭ってはまた滲む額の汗。
白い首筋に纏わりつくブラウンの髪。
放って置いたら、この汗が身体を冷やし悪化させてしまうだろう。
このままで良い訳ねぇよな。
考え抜いた挙句、持ってきたバスローブを手に、目を開けるはずないだろうと予測しながらも、少しだけ起きてくれと願いを込め声を掛ける。
「水野。水野起きれるか?」
「………」
……だよな。
起きれねぇよな。
「水野、汗掻いてるから着替えさせるぞ? いいな?」
当然返事があるはずもなく、ただ、黙って着替えさせることに戸惑いを感じる俺だけの為に掛けた声が、静かな部屋に虚しく響いた。
目の前にいるのは病人。病人だ。
しかも、俺の教え子。
まだ17の小娘だ!
何度もそう自分に言い聞かせ、水野の上半身を起き上がらせると服に手を掛けた。
くそっ!
脱がすのは得意とするはずのこの俺が、思うように事を進められないでいる。
完全に力をなくしている女を脱がせているからか、それとも生徒だと思うと、疚しい気持ちがなくても戸惑いを隠せずに焦るせいか…。
それでもやるしかない俺は、少しでも視界に入れないように、バスローブを羽織らせながら脱がしていった。
視線を逸らしながら、汗ばむ身体をタオルで拭く。
だけど、完全に視界に入れない事は不可能なわけで、時折チラリと見える白い肌と、アクシデント的に触れてしまう柔らかい感触に、ドキッとさせられながら、全て終わって水野を寝かせた時には、俺も相当の汗を掻いていた。
ふぅーっ。
って、溜息付いて休んでる場合じゃない。
兎に角、この熱を下げてやんねぇと。
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