Vol.3 重なる偶然

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「起きてたのか?」 食事の準備が終わり部屋へ戻ってみると、ベッドに横になったまま、水野は窓の外をジッと見てた。 「うん、寝すぎたからね」 「熱は?」 「……7度4分」 「まだ少しあるな。あっちにメシ用意したから、ちょっとでもいいから腹に入れろ。それとも此処で食うか?」 「ありがと。大丈夫、起きれるから向こうに行く」 そう言うと上半身を起こし、少し肌蹴た胸元を直すと、ゆっくりとベッドから降りる。 が、その足下はふらついていた。 「大丈夫かよ。危なっかしいな」 見てられず、ふらふらする水野の身体をヒョイと持ち上げる。 「ちょっと、降ろしてってば」 肩に担がれ暴れる水野だが、そんな力じゃ痛くもない。 「倒れてタンスの角にでも頭ぶつけたらどうすんだよ。俺の睡眠奪って、また看病させる気か?」 「このだだっ広い部屋に、タンスなんて見当たらないんだけど? 何だかんだ言って、私にボディータッチしたいだけなんじゃないの?」 「アホか! これは人助けって言うんだ。頭いいくせにそんな事も分かんないのかよ」 「変態教師のセクハラに遭ってるのかと思った」 「てめっ」 身体に力は入らないくせに、口だけは忙しなく動かせるようになった水野に、何故だか俺はホッとしていた。
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