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「起きてたのか?」
食事の準備が終わり部屋へ戻ってみると、ベッドに横になったまま、水野は窓の外をジッと見てた。
「うん、寝すぎたからね」
「熱は?」
「……7度4分」
「まだ少しあるな。あっちにメシ用意したから、ちょっとでもいいから腹に入れろ。それとも此処で食うか?」
「ありがと。大丈夫、起きれるから向こうに行く」
そう言うと上半身を起こし、少し肌蹴た胸元を直すと、ゆっくりとベッドから降りる。
が、その足下はふらついていた。
「大丈夫かよ。危なっかしいな」
見てられず、ふらふらする水野の身体をヒョイと持ち上げる。
「ちょっと、降ろしてってば」
肩に担がれ暴れる水野だが、そんな力じゃ痛くもない。
「倒れてタンスの角にでも頭ぶつけたらどうすんだよ。俺の睡眠奪って、また看病させる気か?」
「このだだっ広い部屋に、タンスなんて見当たらないんだけど? 何だかんだ言って、私にボディータッチしたいだけなんじゃないの?」
「アホか! これは人助けって言うんだ。頭いいくせにそんな事も分かんないのかよ」
「変態教師のセクハラに遭ってるのかと思った」
「てめっ」
身体に力は入らないくせに、口だけは忙しなく動かせるようになった水野に、何故だか俺はホッとしていた。
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