Vol.4 微妙な関係

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「素行が悪いのは敬介でしょ。マンション前で女性とキスしてたり、バーでは見る度に相手が違うし。あそこのバーね、私も行きつけなの」 バレてたのは……俺の方か!? そう言えば、部屋に入ると言って聞かない女を黙らせるのに、マンション前で口を塞いだことがあったような……。 うっ、見られてたのかよ…。 しかも、バーでも何度も見掛けられていたとは……。 「ガキのくせに、あんな店に出入りすんな! っつうか、何で未成年の家にビールが置いてあんだっ!」 「見られてたからって、動揺して怒んないでくれる? ばれるようなヘマをする敬介が悪い。実際、私は今まで敬介にばれなかった訳だし」 何で気付かなかったんだ、俺。 マンションでもバーでも、コイツの気配すら感じなかったぞ? まさか隣に住んでるなんて想定外もいいところだもんな。 それに隣とは言っても、防音もしっかりしてるこのマンションでは、物音一つ届かない。 静かなこのマンションに、奈央が住んでたなんて分かるはずねぇよ。 でも…。 「こんな広い部屋に一人なんて、お前寂しくねぇの?」 「……別に。そう言う敬介だって一人じゃん」 「俺は男だから寂しくなん───」 「敬介、お替りは? お替りしてよ、ね?」 俺の言葉に被せて話す奈央は、空になった皿を見て、あっさりと話題をすり替えた。 『……それにしてもよぉ』 空になった俺の皿を取り、立ち上がろうとした奈央を手で制し、自分でよそりに来たキッチンで、思わず溜息混じりに漏れ出た独り言。
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