第1章 Vol.1 日常

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「何やってんだよ、お前は」 「えへへ、先生の後つけてきちゃった!」 えへへ…って、可愛さアピールしてるのかは知らないけど、後をつけて来たってだけで引いたのは間違いない。 「授業はどうした?」 「自習になったんだよね。だから抜けて来た……でもこれもサボり?」 「疑問系にするな! 間違いなくさサボリだろ!」 「だって……」 モジモジし出したこの生徒は、うちのクラスの…確か、……川…島?…だったと思う。 「兎に角、今は授業中だ。直ぐに教室に戻りなさい」 クラスの生徒の名も、まだあやふやにしか覚えてないな癖して、教師らしい振る舞いで宥(なだ)め聞かす。 「先生もさぼってるんでしょ?」 「俺はこの時間授業ないの。一服終わったらまた資料作りに戻るし。だから、お前も早く戻りなさい」 「だって、こうでもしなきゃ先生に近づけないじゃん! いつもいつも周りには他の子達がいるし…」 ……イヤな状況。 教師と生徒なんだから、必要以上に近付く意味も理由もないんだって。
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