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―――
秋羽に言えなかった
…本当は怖いの
私のせいで七瀬くんが責任を感じたり苦しんだりするんじゃないかって
さっきだって、優しく笑って頭を撫でてくれた
大きな手で優しく
そんな七瀬くんが苦しむところを見たくない
さっきはあんなふうに言ったけど、別れたほうがいいのかな?
「…大丈夫?」
下を向いてとぼとぼ歩いていた私に七瀬くんが声をかけた
「大丈夫です」
気づけば、のんびり歩いている私に歩調を合わせてくれていた
「敬語じゃなくていいから、タメなんだしさ」
「うん」
七瀬くんは優しく笑った
「あのさ、メアド教えて」
「いいよ」
立ち止まってメールアドレスを交換した
「ありがとう」
七瀬くんを見てると少し胸が苦しくなった
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