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そうこうしているうちに、大通りに出た。
「あと5分ぐらいで家だからこの辺で平気です。」
「そっか。」
「送ってくれてありがとう。」
「どういたしまして。」
「今日楽しかったね。また会えたらいいなぁ。」
「そうだね。……じゃあ…。」
少しの沈黙の後、体を引き返そうとした。
「あの…!」
「ん?」
うっすらと見える赤い顔。
下を向いている彼女の髪の毛が夜風に揺れる。
そして揺れが治まった瞬間、パッと顔を上げた。
「よかったらメアド教えて下さい…。」
三秒ほど時が止まったように感じた。
おそらく、彼女も同じだったと思う。
時間が再び動き始めたのは、俺が口を開いたから。
「いいよ。」
メールアドレスを赤外線で交換した後、ニッコリと笑う彼女の顔を後にした。
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