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蝉の声に聞き飽き、じめじめした暑さからカラッとした暑さに変わった頃。
大学一年生の初夏―――。
俺、高瀬 蒼一郎(タカセ ソウイチロウ)は、小谷 彩愛(コタニ アヤメ)に出会った。
出会った、と言っても、最初は俺の思い込みだったに違いない。
だって彩愛さんにとっては、多数いる中の生徒の一人、いや、゛生徒゛という一括り、単なる指導の対象でしかなかったかも知れない。
そう、彩愛さんは教授としてこの大学に配属されて来たのだ。
そして終業式。
明日から長い夏休みが始まる。
生徒でぎゅうぎゅうの会議室で、学校長の話が延々と続く。
当然話が耳に入ることもなく、頭では短期のバイトでも探そうかな、など考えていた。
話が終わり、そこに一人の女が現れた。
それが彩愛さんだった。
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