章之一   出逢うは運命

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冷たい夜気を吸い込むと、肺に刺さる感じがした。 さっきから走り続けている足が、もう限界を越えて悲鳴を上げている。 「小僧、待て!」 ―――しつこい。どこまでついてくる気だよ。 角を曲がり、また更に左へ折れて、後ろの奴らを引き剥がそうとする。 だが、奴らはしつこく追い回して来る。 ―――まったく、まるで兎狩りみたいだ。 考え事から頭を切り替えて前を見ると――。 「くそっ」 行き止まりだ。 どうする? 戦うのは無理だ。左腕はまだ血が止まっていない。 何処か隠れる場所は――。 周りを見渡して、丁度良い物はないか探すが、見当たらない。 そうそう都合良くはいかない。 もたもたしている間に、奴らが来てしまった。
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