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冷たい夜気を吸い込むと、肺に刺さる感じがした。
さっきから走り続けている足が、もう限界を越えて悲鳴を上げている。
「小僧、待て!」
―――しつこい。どこまでついてくる気だよ。
角を曲がり、また更に左へ折れて、後ろの奴らを引き剥がそうとする。
だが、奴らはしつこく追い回して来る。
―――まったく、まるで兎狩りみたいだ。
考え事から頭を切り替えて前を見ると――。
「くそっ」
行き止まりだ。
どうする?
戦うのは無理だ。左腕はまだ血が止まっていない。
何処か隠れる場所は――。
周りを見渡して、丁度良い物はないか探すが、見当たらない。
そうそう都合良くはいかない。
もたもたしている間に、奴らが来てしまった。
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