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「もっと俺を見て‥葵。
お前の本気をくれたら俺はもしかしたらお前を好きになれるかもしれない。
その時は‥」
海里の手が私の唇をなぞる。
ゾクッと背中がそれだけで疼く。
「一生一緒にいてやる。」
・・本当に、ずるい。
私はもう、とっくに本気なのに。
そんな言葉で、そんな顔でごまかさないで欲しい。
私は、一線を越えたい。
・・友達の一線を。
そっと顔を近づけると口を手で覆われた。
「好きになったら俺からする。今はこっちじゃん。」
いたずらっ子の様な表情を浮かべ私の頭を下へ落とす。
海里に気持ちが届くように舌を使う。
海里を満足させるとかならずまた、大きな手でよしよしとされる。
やっぱり私はぬけだせないんだ。
キスをしてくれない。
抱いてもくれない。
ほどけそうでほどけない彼の呪縛は、私にからみついてくる。
ほころびは彼がこうやって修復してきた。
いつかは、なんて甘い言葉をかけられながら。
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