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『ぼ、僕と付き合って下さい!』
この学校に入学してから昼休みや、放課後になると必ずと言っていい程告白される。
そんな私の名前は『旭ヶ丘夜宵』
かの有名な旭ヶ丘グループの一人娘で、世の中の男共は私の魅力にもぅメロメロ。
フフフ!まさに完璧!
「寝言は寝て言いなさい!あなたの様な貧乏人が私に告白するなど本来有ってはならないものよ!」
「え!いや!あの!」
「私に話し掛けないで下さる?貧乏性が移ります。今すぐ口を凧糸で結んで上げましょうか?」
「う、うわぁーー!」
私に告白して来た男は泣きながら屋上から出て行った。
「ふん!泣く位なら告白などして来ないで欲しいものですね」
私は屋上の一番奥にあるフェンスに指を絡め帰って行く生徒達を見ていた。
「……あっ!」
屋上から下の様子を見ているとある生徒が目に映った。
「……日向様……」
彼の名前は『相野日向』
この学校でも恐らく一番の貧乏人で毎日バイト三昧の日々を送っている。
私は世界で一番貧乏人が嫌い!なのに、彼を見ると胸の高鳴りが収まらない!
「ああ!日向様!」
どうしても、彼が欲しい!何を失ってでも彼が欲しい!でも彼を前にすると素直になれずに悪印象ばかり与えてしまう。
「出会った時に戻れればいいのですが……」
私は屋上の扉を開けながら、彼との出会いを振り返っていた……。
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