01 貧乏人が…頭が高い!

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「よし、じゃあ今日はここまでにしておこう!明日は委員会を決めるからな!」 先生は「んじゃ解散!」と言った。 皆が帰る中、私も帰ろうと思い鞄に手を掛けると、中村先生が突然思い出したかのように手の平をポンと叩き私の方に近付いて来た。 「旭ヶ丘、それと相野。お前達はこの後職員室に来い。分かったな?」 それだけ言い先生は教室から出て行った。 「はぁ。面倒臭いですわ」 私は自分の鞄を持ち、教室から出たのだが大事な事を忘れていた。 「職員室は……どこですの?」 教室新入生として入ったばかりの生徒が分かるはずないですの! 私が誰かに聞こうと思い人を探していると、一緒に呼ばれた貧乏人が居たので仕方なく聞いてみた。 「ちょっと!そこの貧乏人!」 「…………僕?」 「そうです!あなた以外に誰がいるのですか?あなたも職員室に呼ばれていましたね!私を職員室まで案内しなさい!」 私が言うと貧乏人は嫌な顔一つせずに「こっちだよ?」とニコッと微笑み、私の前を歩いた。 何でしょう……貧乏人が笑った瞬間、胸がドキッと高鳴った。 ま、まさか……一目惚れ! 「って、そんな事有り得ないですわ!」 「ど、どうしたの?」 「な、何でも無いですの!早く案内しなさいこの貧乏人!」 そうだ!この私がこんな貧乏人に恋する訳が無いのです! でも、何でしょう?この胸の高鳴りは……。
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