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「次は洗濯だ!とっとと仕事しろ!」
目の前で小太りの少年が叫んでいる。
服は、きんぴかのスーツのような物を着ているが体型に合わず三つある銀のボタンが今にも弾けそうだ。
ぷっ……想像してしまった……。
「なにニヤついているんだ!とっととやれ!」
ピュンピュン跳んで来る火の玉。
人間相手に魔法ぶちかますなよ……あ、俺人間扱いされてないのか。
え~と反射神経を強化っと……おぉ~見える見える。
小太りが放った火の玉を
強化した反射神経により避け続ける。
しばらくすると小太りは魔法を唱えるのを止めた。疲れたんだろうな……いくら貴族といえど人間があんなにたくさん魔法を放てばそりゃ倒れるわ。
「くぅぅ……早く洗濯をしてこい!」
呻きながら命令してくるデブ。俺は軽く会釈をするとデブの部屋から出た。
「あぁ~毎日あんなデブと関わってたらこっちが太りそうだわ……」
ドアが閉まった事を確認すると俺は呟いた。
ここは一流貴族、マムール家の屋敷……俺はただいまここで絶賛召し使い実行中なのである。
この世界は身分制度がある。そのため下級身分は貴族のために働かされるのだ。
俺の階級は……奴隷。一番最下層の身分である。
俺――レン=アルトゥーガは、奴隷として貴族の家で働いているというわけだ……というか実質ただ働きである。
出て行きたいのはやまやまなのだが、下級身分に待っている未来なんてろくでもないというのは分かっていた。
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