序章

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ふと窓から外を見ると、遠くには綺麗な緑がたくさん見える。俺も早く自由な世界に旅立ってみたいものだった。 今年で多分17才。多分というのは、この家から外に出れないため時間感覚が狂い始めているのだ。 俺は生まれて物心ついたときからこの屋敷にいた。子供の頃の俺でもこの屋敷の奴らは良く使っていた。家事を出来なかったり失敗したりするとひっぱたかれたりした。 「はぁ~……まあ仕方ないか……いつかチャンスはくるだろうし……それまではここでおとなしく働こう」 最近は筋力がついてきてちょっとの事では動じなくなってきた。これも屋敷の地下にあるトレーニング施設を内緒で使っていた賜物だろう。 「さて、洗濯をとっとと終わらしてしまうか。アクア。」 俺はそっと魔法の名前を呟くと、手の平に野球ボールサイズの水の球が浮かび上がった。 これは水の初級魔法でアクアという、赤ちゃんじゃなければ誰でも使えると言われるほど簡単な魔法だ。 魔法はこの世界に根強く昔から存在し、その歴史は数万年前にさかのぼるとも言われている。 簡単に説明すると、一人一人の身体には普通の腸や、胃などの臓器のほかに、心臓の少し横に小さな臓器があるらしい。 心臓から出た血液が、その魔力器(俺命名)を通って、全身に行き渡りあらゆる場所から魔法を放てるらしい。 そして魔法には二つ種類があり、先程のデブや、今俺が出したような体外に具現化して使う魔法を放出系魔法。 火の玉を避けるために使った反射神経アップなどの体内で効果がある魔法を内出系魔法と呼ぶ。
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