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洗濯が終わり、部屋に戻ろうとすると、階段の上から白のメイド服を着た女の人が歩いてきた。
「こんにちはレン。ごきげんいかがですか?」
「こんにちはシルネさん。」
この几帳面に挨拶してくれたのは、この屋敷のメイド長シルネさん。俺の家事の師匠とも呼べる人である。
ここで唯一シルネさんだけは俺の事を奴隷扱いせず、普通に接してくれる。シルネさん曰く、私は貴族ではなくメイドなのでという少し訳の分からない理由だが、俺はそんなシルネさんを尊敬している。
「今洗濯を終えてきたところです。何か手伝う事はありますか?」
俺が質問すると、シルネさんは、その整った顔を横に振って答えた。
「いえ、今日はもうありませんよ。自由にして結構です」
微笑みながら答えてくれたシルネさん。窓から入ってきた太陽光がその美しく肩ほどまである銀髪に当たり綺麗に輝いている。
それがまた美しく、つい顔を逸らしてしまった。
随分時間が余ってしまい、これからどうするか考えていると不意にシルネさんが質問してきた。
「そういえば……レンは外を見たことが無いんですよね……?」
「はい……一度は見てみたいんですけど……一応立場的にですねはい……」
外の世界――それは窓からしか見たことがない未知の世界。
何があるかも知らないし、何が待っているかももちろん知らない。
でも一度は見てみたかった。
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