始めての外

2/9
前へ
/18ページ
次へ
マムール家は山の上層にあり、車やら何やらで山の下にある町に買い物に行く。 だが俺には運転する技術は無いので当然歩きとなるわけだ……。 というわけでデコボコとした山道を歩いていたわけなんだが。 「道が分からない……シルネさんに聞いておけばよかったな……」 歩いても歩いても見えるのは木、木、木……精神的に疲労するだけである。 このままでは倒れてしまいそうだ。 「こういう時に空間転移系の魔法を持っていればよかったんだがな」 ぶつぶつ呟いても事実は変わらないので仕方なく歩く。 ここでふと思いついた。空から見ればいいんじゃないかと。 「エアーをちょっと合成してと……出来たのかな?」 手の平に風の塊を出し、形を変えて羽のような感じにする。 魔法の改造――これが俺の特技である。 普通の人間は、出した魔法をそのまま打ち出す。強い奴は大きくしたり小さくしたりすることは出来るが、それでも形を自由に変える事は難しいとされる。 理由は、不発してしまうから。無理に形を変えようとすると、魔力量が変わってしまい、結果魔法が形を保てなくなり崩れてしまう。 だが俺はなぜか昔からそれが出来てしまう。理由なども知らない。この能力だけは人間ばなれしていると言ってもよい。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加