此処は古本屋

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屋根の上には、風見鶏がそよ風を受けて、くるくるとまわっている。 僕が古本屋をじっと眺めていると、古本屋の引き戸がガタガタと開いた。 立て付けが悪いらしい、上手く開かなかった。 引き戸が完全に開いて、中から出てきたのは、少し早い気がするが浴衣を着た男性だった。 見た目は三十歳前半で、長ったらしい髪が風でそよいでいる。 その男性は、なにやら油性ペンを持っていて『年中無休』の看板にある文字を付け足した。 『年中無休…ただし、土日は休みます』 そう付け足した後、ふむ、と満足した様な顔で看板を見つめ、何度か頷いた。 その後、男性は踵を返し店へと戻っていた。
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