此処は古本屋

8/32
前へ
/157ページ
次へ
店を継いだ。と言う事はこの男性は店長なのだろう。これからは店長とよぶことにした。店長は何やら紙切れを取出し、何か文字を書いた。 「これこの店の連絡先だ……気になった事があったら電話してくれたまえ」 紙切れには電話番号であろう数字が書かれていた。 僕はその紙切れを受け取りズボンのポケットにしまった。 「それじゃ、僕はこれで」 「ああ、雨には気をつけてな」 店長は手をヒラヒラと振っていた。 立て付けの悪いドアを開けると、雨なんて降っていなかった。ただの曇りだった。 「今日の降水確率って確か……」 そう考えながら、石垣で出来た坂道を下る。 カーブミラーの所まで行くと、ポツポツと雨が振ってきた。
/157ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加