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景虎「天下一であろうな」
晴信「そこまで言われまするか。攻めかからなくて良かった。危うく多大なる被害がでるところでした。しかし…何故お二人共白頭巾など被っておられるのですか?」
それもそうだろう。初夏…といえど今年は例年より暑い。そんな中、顔全体を覆う白い頭巾を被っているものだから晴信が気にして当たり前である。
景虎「戦時に置ける気構えとでも言いましょうか。常にわしは死に装束を纏って戦っておりますゆえ」
晴信「ほう?その白頭巾が死に装束と言うわけですな」
景虎「ご明察通りに」
晴信「なかなか面白き考えでありますな。しかし戦う前から死ぬとは縁起が悪い」
景虎「いえいえ。我が長尾家の者達は戦に行くとき死人になり申す。戦場こそおのこの華。散り際こそ美しくありたい」
景虎は続ける
景虎「武田はこたびの戦、勝ち戦だと決めつけておるようだが…油断召されるな。龍の爪が刻まれますぞ」
晴信「…」
信繁「…兄上!」
晴信「…っは!すみませぬ。つい聞き惚れてしまいました」
晴信は正直に言った。正直にそうおもったのだ。
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