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はんこうよこく、そのいちのつづき
外に出ると雨粒が水の弾丸となっていた。
川の氾濫に土砂崩れ。木造建築なら屋根も飛ぶことだろう。
「避難勧告はどうなってる。」
「電線が切れて電波塔が使えません。」
「くそ…中継車は。」
「渋滞だらけで歩いたほうが早いです。」
「この風で機材担ぐのは危ない。」
放送に必要なあらゆるものが使い物にならなくなっていた。これではどうしようもない、が。
「横断幕を作る。」
現場にいた全員の頭上に?が出現した。
「声が届かないなら文字で知らせるんだ。ありったけの布もってこい。」
かなり原始的だが現状ではこれが限界だ。
「後は人間がどれだけ動けるか、だな…。」
服装についてはスカートで出社した自分を恨むしかない。
「急げ。水性で書くようなヘマはするな。」
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