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はんこうよこく、そのいちのつづきのに
できあがったばかりの横断幕を持って外に出た。が、うまくはいかなかった。
自分が立つだけでも難しいなか両手で風を受けなければならないのだ。
1つの横断幕を数人で支え、倒れ、また支えるの繰り返し。
何枚か飛ばされたものもあった。
拡声器での呼びかけも試してみたがやはり効果は薄い。
近隣の川はいつ氾濫をおこしてもおかしくない。状況は悪化するばかりだった。
そんななか、気象庁では警察の力を借り、歩道で中継車を走らせた。
警察車両を組み合わせることで信号機の役割もはたし、少しずつだが渋滞は緩和した。
「それでも八割は避難できていない。」
「病院はどうする?離れられない者もいるだろう。」
「この風ではヘリが飛べない。自衛隊も手がだせん。戦車を輸送に使うか?」
「それはマズいでしょう。せめて装甲車で…」
「気象庁に届けられたEメールはどうなりました。」
「イタズラじゃないのかね。」
「気象庁のサーバーはそんなに弱くありません。サイバーテロの可能性もあります。」
「なぜわざわざ気象庁を狙う。目的はなんだ。」
踊って進まぬ会議とはこのこと。政府では打開策を打てずにいた。
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