1人が本棚に入れています
本棚に追加
はんこうよこく、そのいちのつづきのにのつづき
雨と風が止んだ。と思って顔を上げたら雲が晴れていた。
地面は相変わらず水浸しだが水は静かに流れている。
「雨、止みましたね。」
「そうだな。」
20年以上生きてきたがこんなことは初めての経験だ。
死者何万人となってもおかしくなかった災害が一瞬で消えたのだ。
「狐の嫁入り…か?ずいぶんと豪勢な祝いだったな。」
雨具を脱いで煙草をだす。箱はびしょ濡れだが中身は問題ない。ライターも無事に火がつく。
吐き出した煙を目で追った。
視線の先には明るい色をした物体が宙に浮いている。
「は?」
見たと思った次の瞬間には消えていた。なんとなく人が2人見えたのは気のせいだろうか。
「2人いましたよね?」
「疲れてるんだ。きっと。今日はあがっていいぞ。」
アルコールでも入れれば頭も冴えるだろう。夕日が見せた蜃気楼だ。
おわり。
最初のコメントを投稿しよう!