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助けてと言われても、具体的にどうしたら良いんだ? 結局、直ぐに亜姫と人格交代したものの、全然元気無いし。
空はこんなに快晴なのに、こっちは大雨洪水ってか。一緒にアトラクションに乗って頼んだら、解決するもんなのかな?
「亜姫……」
言葉が紡げない。彼女に、何を投げかけてあげれば良いのか皆目見当も付かない。慰めや励ましが、返って本人を傷付けてしまう事もある。
「やっぱり、何かあったみたいだね」
横に顔を向けると、さっきアルバートと一緒に凶悪犯を連れて行った筈のマリーが立っていた。
「お前、アルバートと一緒に行ったんじゃ……」
「そこの女、元気無さそうだったからちょっと気になっただけだよ。お前、何かしたのか?」
「してねぇよ。自信を無くしたようでさ……」
「自信? よく解らないけど、伊集院亜姫!」
マリーは亜姫を呼び掛けるなり、水を操っていきなりぶっ放す。突然の事で、亜姫は避ける間もなく水の中に飲み込まれてしまう。
「なっ!? いきなり何しやがんだ!?」
「ムカついたから」
「ゲホッ!?」
「大丈夫か!?」
いつもなら、直ぐに『エルク化』して仕返しをするのに、亜姫は相変わらずの全く無気力である。
「何だい何だい? 随分と腑抜けになったもんだね」
「私は……弱いから……」
「あぁ?」
マリーは眉間にシワを寄せ、歯軋りを立てながら再び水を放って来る。俺は咄嗟に木刀を振るい、打ち消す。
「お前……亜姫を!」
「護り過ぎなんだよ。お前はその女をな……だからそんなに腑抜けになっちまうんだよ!」
護り過ぎ……? 寧ろ、俺は今まで亜姫に護られてたような気がするんだが……いやでも、『メルト・レム・ヘル』が現れてからは、俺が護ってた事の方が多かったか……?
「みーつけた。こんなところに居ましたか……水野緋人君」
さっきのドンパチにギャラリーが集まり、その中の一人に居た怪しげな男が手を叩きながら歩み寄って来る。
「何だいあんた……?」
「『ピース』の連中か。丁度良い……仙道様の野望を達成するには、お前達『スーパーナチュラル』の軍団が邪魔だ。一緒に消してやる」
仙道様……だと!? もしかしてこいつ、人間の皮を被った『アンドロイド』か!? ヤバい、早く奴の近くに居るマリーのとこに行かないと、あいつが殺される!
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