エピソード19

2/7
前へ
/463ページ
次へ
 助けてと言われても、具体的にどうしたら良いんだ? 結局、直ぐに亜姫と人格交代したものの、全然元気無いし。  空はこんなに快晴なのに、こっちは大雨洪水ってか。一緒にアトラクションに乗って頼んだら、解決するもんなのかな? 「亜姫……」  言葉が紡げない。彼女に、何を投げかけてあげれば良いのか皆目見当も付かない。慰めや励ましが、返って本人を傷付けてしまう事もある。 「やっぱり、何かあったみたいだね」  横に顔を向けると、さっきアルバートと一緒に凶悪犯を連れて行った筈のマリーが立っていた。 「お前、アルバートと一緒に行ったんじゃ……」 「そこの女、元気無さそうだったからちょっと気になっただけだよ。お前、何かしたのか?」 「してねぇよ。自信を無くしたようでさ……」 「自信? よく解らないけど、伊集院亜姫!」  マリーは亜姫を呼び掛けるなり、水を操っていきなりぶっ放す。突然の事で、亜姫は避ける間もなく水の中に飲み込まれてしまう。 「なっ!? いきなり何しやがんだ!?」 「ムカついたから」 「ゲホッ!?」 「大丈夫か!?」  いつもなら、直ぐに『エルク化』して仕返しをするのに、亜姫は相変わらずの全く無気力である。 「何だい何だい? 随分と腑抜けになったもんだね」 「私は……弱いから……」 「あぁ?」  マリーは眉間にシワを寄せ、歯軋りを立てながら再び水を放って来る。俺は咄嗟に木刀を振るい、打ち消す。 「お前……亜姫を!」 「護り過ぎなんだよ。お前はその女をな……だからそんなに腑抜けになっちまうんだよ!」  護り過ぎ……? 寧ろ、俺は今まで亜姫に護られてたような気がするんだが……いやでも、『メルト・レム・ヘル』が現れてからは、俺が護ってた事の方が多かったか……? 「みーつけた。こんなところに居ましたか……水野緋人君」  さっきのドンパチにギャラリーが集まり、その中の一人に居た怪しげな男が手を叩きながら歩み寄って来る。 「何だいあんた……?」 「『ピース』の連中か。丁度良い……仙道様の野望を達成するには、お前達『スーパーナチュラル』の軍団が邪魔だ。一緒に消してやる」  仙道様……だと!? もしかしてこいつ、人間の皮を被った『アンドロイド』か!? ヤバい、早く奴の近くに居るマリーのとこに行かないと、あいつが殺される!
/463ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5916人が本棚に入れています
本棚に追加