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「ぐあっ!? どこから――あっがぁぁぁっ!?」
敵に反撃の隙を与える事なく、何発も何発も四方八方から銃弾が飛び交っている。周りを見ても、一般人がざわめきながらこちらを見てるだけで、拳銃を持っている人が見当たらない。
それに、華凛の拳銃は威力の低いハンドガンだ。『アンドロイド』を怯ませる事なんて出来る筈がないし、射程距離も長くはない。
華凛じゃないとすると、『メルト・レム・ヘル』か!? でも、あいつらは鉛弾じゃなくてレーザーを撃つ拳銃だ。
――じゃあ、一体誰が!?
「これは……リーダーだ!」
マリーが口から零したリーダーという単語。それってつまり、『ピース』の親玉がこの近くに居るって事か!?
「はっ!?」
一発の銃弾が、遠くにある木刀に当たって俺の手元まで飛んで来る。もしかして……俺に味方してくれているのか!?
「よし……!」
「くそっ!? どこから……攻撃を……しているんだ!?」
体がまだ痺れて思うように動かない……けど、敵は未だに銃弾を浴び続けて怯んでいる。それにしても、『ピース』のリーダーは凄い。あの『アンドロイド』が手も足も出せていないなんて……しかも、どこから撃ってるのか解らない。
移動しながら撃っているのか……だとしても、敵が右から撃たれたと思ったら、直ぐに左や正面、斜めと瞬きする間もなく飛んで来ている。
超スピードで移動しながら撃っているとも思えないし、そんな事をすれば周りの人が気付いたり、移動による風圧で木々が揺れる筈だ。
何よりも、どんどん敵に近付く俺の脇や股をすり抜けて銃弾も飛んで来たりと、他の人間には当たらないように絶妙な軌道に銃弾が飛んでいる。
「これで……終わりだ!」
俺は、木刀を縦に振り下ろして『アンドロイド』を真っ二つにする。同時に、発砲音と銃弾がピタリと静まる。
「やった……」
「緋人さん、大丈夫っスか!?」
「ケイオス!?」
目の前の空間に穴が開き、ケイオスが現れる。驚いた俺は、思わず尻餅を付いてしまう。
「どうしてここに!?」
「リュウ・ハーン先輩が教えてくれたんですよ」
「八雲が……」
どうやって、ケイオスに教えたんだ? まさか、またどこかで俺達を見ていたのか!? そうだとしたら、さっさと助けてくれれば良いものを――
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