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「お前!? あん時はよくもやってくれたね!」
「待て、マリー! こいつはもう敵じゃないんだ!」
「どういう意味だい!?」
「だから、詳しい事は後で話すから……ケイオスに頼みがあるんだけど」
彼に、周りに集うギャラリー達の記憶を消してもらい、さっきまでの出来事を無かった事にしてもらう。
それから、マリーには俺が『エルク』の血を引いている事は伏せ、それまでの経過を打ち明ける。
打ち明けた理由として、『ピース』は超能力を使う奴らの集団だ。それに、罪人は見過ごす事はしないので協力してくれるかもしれない。
「そうかい……そりゃあ大変だったね」
「協力出来ないか?」
「超能力が全く通じないんじゃ、あたい達は足手まといだ。一応、リーダーには報告するが……力になれなくて悪い」
普通に考えたら無理だよな……超能力が封じられたら、そこらの一般人と同じだからな。
「自分はもう行くっス。周りには十分気を付けて下さい」
「ケイオスも無理すんなよ」
彼は、開きっぱなしの空間の穴に入って姿を消す。すると、穴も同時に消失する。そういや、俺達を助けてくれた『ピース』のリーダーってどんな人だろうか?
助けてくれはしたけど、あの後も一向に姿を見せなかったもんな。
「リーダーって、どんな人なんだよ?」
「あたい達、身よりの居ない孤児を救ってくれた救世主ってやつかね」
「孤児……?」
「『ピース』は、殆どの身よりの居ない奴らの集まりなんだ。それを、リーダーが纏めてくれている」
知らなかった……『ピース』は、ただ『スーパーナチュラル』が沢山居る手荒な罪人キラーの集まりかと思っていたけど、そんな辛い思いを抱えてたんだな。
「あたいは行くよ。そいつ、ちゃんと介抱してやれよ。じゃあな」
「あぁ、サンキューな」
マリーも俺達の前から立ち去り、俺は気を失っている亜姫をベンチに寝かせる。頭部は、俺が膝枕をして首が疲れないようにしている。
亜姫……自分で弱いとか言っといて、俺がピンチになったら迷わず飛び込んで来やがる。おまけに、庇って代わりにボコボコにされやがって……
俺も……お前を助けられなかった。『ピース』のリーダーが居なかったら、お前を失っていた……俺だって生きてたかどうか解らない。
強いな……仙道家。強くなってた気がしたけど、全然駄目だったぜ。
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