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「うぅ……」
「気が付いたか?」
「緋人君……さっきの敵は倒したの……?」
「何とかな。『ピース』のリーダーが助けてくれたんだ」
「『ピース』の……いたっ!?」
さすがに『エルク化』してても、ダメージが直ぐに回復する事はないか。それでも、さっきまでの傷が消えかかっているのは確かだ。
回復力は『アンドロイド』には劣ってはいるも、かなり早いな。後一時間は休憩していれば大体は回復するだろう。
「あんまり動くなよ。かなりタコ殴りにされてたしな」
「私……もしかして緋人君に膝枕されてる!?」
「あ……あぁ! ちょっとは楽になるかなと思って……」
「いつもはしてあげてるのに、今日はされる側か……」
――え、何それ、全然知らないんだけど……今まで膝枕とかされてたっけ? そんな顔を真っ赤に染められても困るんだけどな。
「亜姫はさ……自分が弱いって言うけど、思ってる程弱くないと思うぜ」
「え?」
「戦意と自信喪失してるのに、それを振り切ってまで俺を護ろうとする根性? とにかく、弱い奴に出来る芸当じゃない。それに、弱いのは亜姫だけじゃない……俺もだよ」
「そんな事ないよ……」
「あるよ。実際、『ピース』のリーダーが助けてくれなきゃ亜姫を護れなかった……俺は一人じゃ全然駄目なんだ」
今までの戦いを振り返ってみると、自分が仲間の力を借りまくって乗り切ってるのが改めて理解出来る。
どうやら、俺は仲間と一緒に組んで初めて力が発揮する事が出来るみたいだ。博士平悟も、そんな風な事を言っていた気がするな。
「それによ、俺はお前に消えられたら困るんだよ。何でか解るか……?」
「どうして……?」
「――好きだからだよ」
「あ……緋人君!?」
「生き残ったら、ちゃんと言うって約束だったからな……つーわけで、消えんなよ!」
――我ながら臭いセリフのオンパレードで、恥ずかしくて死にそうだ。でも、今日の目標は何とか達成出来た!
「はう……うあぁ……」
「何で泣くんだ!? どこかまだ痛むのか!?」
「だって嬉しくて……幸せ過ぎて……やっと、両想いになれたんだなって……」
――そういえば、こいつに宣戦布告されてたんだよな。いつの間にか、俺はいつも頑張って尽くしてくれる亜姫が好きになっていた。この勝負、俺の負けのようだ――
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