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一昨日の放課後、僕は華凛に遊園地か何かのチケットを譲り受けた。
GSJ……前の学校でクラスのみんなが噂していた二階堂家が経営している凄いやつらしい。昔、遊園地に行った記憶はあるが……どこの遊園地だったかははっきりと覚えてない。
「蒼真くーん!」
「おはよう、華凛」
ゲートの前で待っていること数分、華凛が大きくて長い黒い車から降り、嬉しそうに僕のもとまで走って来る。
いつも制服姿の彼女しか見ていなかったが、私服姿も相変わらず可愛い。ただ、あんなフリフリの短いスカートは寒くないのだろうか?
いや、季節的に考えればこれから暑くなる時期だし、女の子にとってあれが丁度良いのかもしれない。
「待った?」
「六分一二秒待ったよ」
「そこは、僕も今来たところって言うとこよ……」
「何で?」
「そ……そういう風になってんのよ! 世間的には!」
正直言うと、僕は世間的な事はよく知らない。緋人達と逢うまでは、自分や亜姫を護る事で世の中に目を向ける暇なんてなかった。
でも、あの学園は僕が伊集院家と知っても笑って受け入れてくれた。後に亜姫から聴いた話だが、当初は蔑まれていたらしい。
でも、それを緋人がどうにかしたようだ。龍の協力があっての事だが、下手すれば自分も爪弾きに遭うかもしれないのに、本当に凄いやつだ。
「ねぇ、華凛。どうして僕を誘ったの?」
「えっ!? そ、それは……緋人は亜姫ちゃんが居るし、碧夜はマリーって女一筋だし、龍はこんなの興味無さそうだったから……蒼真君は興味有るかなって思って!」
彼女は何を言ってるのだろうか? 最後の部分しかよく解らなかったけど、実は僕自身、あまり遊園地に興味は無い。
でも、華凛がせっかく誘ってくれたんだし、がっかりさせるのはよくない。
「僕、あまり遊園地とか行かないから、よく解らないんだ」
「嫌だった……?」
「え? 別に嫌じゃないよ。華凛が居るし」
「なっ!? 変な事言ってないで、中に入るわよ!」
頬を赤らめながら逸らされてしまった。どうやら僕は顔を赤くさせてしまう程に彼女を怒らせてしまったようだ。
今の何がいけなかったのだろうか……あまり人付き合いは上手くないから、きっと失礼な事を口走ってしまったのかもしれない。
でも、緋人や碧夜みたいに拳が飛んで来てないから、まだマシなのかな?
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