四匹目 配達猫

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そこに座っていた。 「えっと。翁屋の金と銀はこちらでよいの?」 「はっ?」 いきなり呼び捨てな上に、問いかけられて金はびっくりしていた。 「だから、ここのお宿でよろしいのか?ってきいてんの!通じてる?」 「なっ!わかるってんだ。お前、バカにするもいい加減にしろ!喧嘩うってんのかよ!」 いきなり、馬鹿にされたような気がして、キレていた。すると、そのシャム猫はなんだか、めんどくさそうな顔をして、首にぶら下げた鞄から、何やら手紙のようなものを出した。 「はいはい。ここね。初めからいってよね。こっちは忙しくて、そんないって構ってらんないんだから。えっと。これこれ。はい。配達したからね。」 「は?何だよ、これ。てか、お前だれ?」 何だか状況が掴めないまま、手紙のようなものを渡され、金は何なんだか頭で把握できてなかった。 「は?あー。あんた初めてか。えっと。あたしは、配達屋のキイラってんよ。まあ、頼まれたのをその場所へ運ぶ、あれあれ。あの目の前に止まってる車と同じ。」 そう言われて、目の前を見やると大きなトラックがいた。そこには黒い猫の絵がついていた。そして、文字がかいてある。…シロクロネコヤキトの宅急便。… 「そういう訳だから。あっ!この紙にサインか拇印おして!」 そう言われて、差し出された紙に肉球を葉汁につけて押した。 「はい。では、完了。まあ、またなんかあればくるから、まあ、宜しく。んじゃ、急ぐから。でにゃ~。」 そういって、また砂埃が上がった。 あっという間のことに呆気にとられつつ、むせていた。 「だから。何なんだよ!」 キレつつも渡された、手紙をまじまじとみる。 宛先に翁屋の金、銀様とかいてある。裏にはなんと、 愛おしいとずっと思い、探していたあの名が刻まれていた。 「銀!起きろ!なんか俺らに手紙がきてるぞ! しかも、聞けよ! かっかあ、母ちゃんからだ!」
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