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「ううん。まだ食べきれないよ。ううん。」
銀はまだ夢の中のようで、素っ頓狂な寝言をいっていた。
金は呆れつつも、銀を優しく起こそうとしていた。
「ったく。銀。まだ夢の中なのかあ。もっと夢のようなのに、素敵な現実がここにあるんだよ。
銀。起きろ。母ちゃんが俺らに手紙くれたんだよ。ずっと探してた、母ちゃんだ。なあ。銀。」
そういって、弟を揺する。
「ん。ん?何したの?うんん。んん?母ちゃんって、金兄。いったあ?」
目をこすりながら、少しなんだか頭がまだ現実に戻ってない感覚がしていたためか、銀は改めて金に問いただした。
金は改めていう。
「そうた゛とも。母ちゃんからだよ。紛れもなく。」
そう言いきった金をみて、銀は目を丸くして、そして、確信したのか、目をきらきらとさせ、金にせがんだ。
「ほんとに!金兄。今すぐよんでよ。母ちゃんはどうなの?元気なの?僕らのこと覚えててくれたの?今どこにいるの?ねえー!金兄!」
「まだ呼んでないよ。今読むとこなんだから、一気にいうな!」
少し怒りつつも、顔はどこかほこらばせながら、翁屋の玄関口にある木の長椅子に銀と共に座り、手紙を開いた。
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