四匹目 配達猫

4/6
前へ
/14ページ
次へ
「ううん。まだ食べきれないよ。ううん。」 銀はまだ夢の中のようで、素っ頓狂な寝言をいっていた。 金は呆れつつも、銀を優しく起こそうとしていた。 「ったく。銀。まだ夢の中なのかあ。もっと夢のようなのに、素敵な現実がここにあるんだよ。 銀。起きろ。母ちゃんが俺らに手紙くれたんだよ。ずっと探してた、母ちゃんだ。なあ。銀。」 そういって、弟を揺する。 「ん。ん?何したの?うんん。んん?母ちゃんって、金兄。いったあ?」 目をこすりながら、少しなんだか頭がまだ現実に戻ってない感覚がしていたためか、銀は改めて金に問いただした。 金は改めていう。 「そうた゛とも。母ちゃんからだよ。紛れもなく。」 そう言いきった金をみて、銀は目を丸くして、そして、確信したのか、目をきらきらとさせ、金にせがんだ。 「ほんとに!金兄。今すぐよんでよ。母ちゃんはどうなの?元気なの?僕らのこと覚えててくれたの?今どこにいるの?ねえー!金兄!」 「まだ呼んでないよ。今読むとこなんだから、一気にいうな!」 少し怒りつつも、顔はどこかほこらばせながら、翁屋の玄関口にある木の長椅子に銀と共に座り、手紙を開いた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加