序 春の調べを運ぶ風

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翁屋には、季節を感じさせない穏やかな空気がある。そこに停まると田舎の家に帰ってきたような、和やかな安心感がある。 そんな宿屋の入り口には、かわいい門番が二匹。 しかめっつらな兄の金。 おっとりしている弟の銀。 そんな彼らに季節の旅情を風が運ぶ。 その風は彼らに新たな出会いをも運んでくる。 雪溶けの芽吹く春から満ちる桜を誇る春、そして残花を舞散らし、花を風に揺らしながら、初夏の香りを感じさせるかわりゆく春。 そんな時節を語り綴ります。 彼らに届けられる風は今は春風。
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