2人が本棚に入れています
本棚に追加
今日もいつもの様に門番のお仕事。
朝の心地よい天気と風、それと一緒に桃花の香りと花びらが春の温かさと優しさ、煌めきを伝えてくる。
背伸びをする。
~うーん。今日もいい天気だな。~
そういう僕は金、隣にいる弟、銀に声をかける。
~そうだね。金兄。すごくいい香がするよ。あっ。花びらだぁ。~
そういって、花びらを見つけて喜んでいる。
~ああ。そうだな。春だからな。桜薫る時期だな。~
気持ちどこか高揚する。
今日はいつもとは違う、素敵な出会いが出来そうなそんな予感がしていた。
花びらが一斉に風に強く舞い込まれてきた。
~うわ!?金兄。前見えないくらいの花びらだよ。~
~ん!?すっすごい、花びらだな。目が開けられない。~
お互いにたくさんの花びらに目を捕われていると、どこからか声がしてきた。
そう花びらの奥から。
聞き覚えのある声がした。
~お久しぶりです。門番の御兄弟。お元気でお過ごしでしょうか?~
沢山舞っていた花びらもいつのまにか止んでいた。 ふふっと微笑、声の先には、あの見覚えのある白毛。
~あ!~
~白さん?~
金と銀の声が重なる。
~ええ。白ですよ。~
最初のコメントを投稿しよう!