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祈りの子ジグ
少年の名前はジグ。
…
彼は、
それまで生きてきた経験の中で、
自分の力を知っていた…また、その限界も。
…
小学低学年の時に、クラスで飼っていた金魚が死んだ。
…
教師の号令とともに、
クラスの全員で
もくとうをささげた。
その時、奇跡はおきた。
悲しむ生徒達のが目を開けると
ゆうがに泳ぐ金魚の姿があった。
金魚は生き返ったのだ。
…
ジグは皆と驚きや喜びを分かちあった。
が…
しかし、それは数度か経験した事だった。
彼にはなんとなく
金魚が生きかえる事がわかっていた。
…
ジグは
その奇跡を、自分が行ったものと考えたが、
はじめは使い方がわからなかった。
…
ひとりで
いくどとなく奇跡をおこしてみようとした。
しかし何度も試してみても、
自分ひとりでは
願いをかなえる事はできなかった。
…
…自分のちからを信じて、
すごく可愛がってた愛犬を殺した。
死後すぐに生き返る事を願ったが、愛犬は生き返らなかった。
あせるジグは、冷たくなる愛犬を抱きしめ
泣きじゃくりながら、浅はかな行動を後悔した。…
やがて家族が家に帰ってきて、愛犬の死を知らされた。
家族はジグを責めなかったが、
愛犬の死をいたみつつも、
できることなら、また愛くるしい姿を見たいと願った。
ジグは夜通し愛犬のそばにいた。
翌朝…
気が付くと、愛犬がほほをなめていた。
この事から彼は、
多くの人が思いをひとつにする時、
またその思いが強ければ強いほど、
より大きな奇跡が起こると言う事を学んだ。
…9歳の時…
…
いじめっ子が女の子を突き飛ばした。
机の角で顔を打ち、
鼻血を出してうずくまる女の子を見て、
クラス中の憎悪が、いじめっ子に注ぎ込まれた。
…
その瞬間…
…
力は発動された…
…
教室は悲鳴と血で染まった…
…
…
それ以来、
ジグは自分の力をひた隠し、
ひっそりと目立たず生きる様になった。
そう…
高層マンション火災の時までは…
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