祈りの子ジグ

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祈りの子ジグ

少年の名前はジグ。 … 彼は、 それまで生きてきた経験の中で、 自分の力を知っていた…また、その限界も。 … 小学低学年の時に、クラスで飼っていた金魚が死んだ。 … 教師の号令とともに、 クラスの全員で もくとうをささげた。 その時、奇跡はおきた。 悲しむ生徒達のが目を開けると ゆうがに泳ぐ金魚の姿があった。 金魚は生き返ったのだ。 … ジグは皆と驚きや喜びを分かちあった。 が… しかし、それは数度か経験した事だった。 彼にはなんとなく 金魚が生きかえる事がわかっていた。 … ジグは その奇跡を、自分が行ったものと考えたが、 はじめは使い方がわからなかった。 … ひとりで いくどとなく奇跡をおこしてみようとした。 しかし何度も試してみても、 自分ひとりでは 願いをかなえる事はできなかった。 … …自分のちからを信じて、 すごく可愛がってた愛犬を殺した。 死後すぐに生き返る事を願ったが、愛犬は生き返らなかった。 あせるジグは、冷たくなる愛犬を抱きしめ 泣きじゃくりながら、浅はかな行動を後悔した。… やがて家族が家に帰ってきて、愛犬の死を知らされた。 家族はジグを責めなかったが、 愛犬の死をいたみつつも、 できることなら、また愛くるしい姿を見たいと願った。 ジグは夜通し愛犬のそばにいた。 翌朝… 気が付くと、愛犬がほほをなめていた。 この事から彼は、 多くの人が思いをひとつにする時、 またその思いが強ければ強いほど、 より大きな奇跡が起こると言う事を学んだ。 …9歳の時… … いじめっ子が女の子を突き飛ばした。 机の角で顔を打ち、 鼻血を出してうずくまる女の子を見て、 クラス中の憎悪が、いじめっ子に注ぎ込まれた。 … その瞬間… … 力は発動された… … 教室は悲鳴と血で染まった… … … それ以来、 ジグは自分の力をひた隠し、 ひっそりと目立たず生きる様になった。 そう… 高層マンション火災の時までは…
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