第二章

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「失礼ですが、どのようなご用件でしょう?」  塔を目指して約三十分。ようやく見えてきた国を囲む外壁の一部にある門に近づいて言われた第一声だ。  国を守るために作られた外壁は高く、ここからでは塔を含むいくつかの建物しか見えない。  門は白い石造りで、下から上に持ち上がるように開く形式だ。左右に槍と軽装備をした門番がいて、俺たちは門番から話しかけられた。異世界初のコンタクトだ。 「僕たちはアースから来たものです。先程こちらの世界に来たばかりで、塔を目指してこちらへ来ました」  まあ、コンタクトをとったのは龍宮だが。龍宮は高校生に見えないくらいに落ち着いて返答する。 「そうですか、それは災難でしたね。しかしテスティアも中々良いところですよ」  そう言って門番は門を開けるための装置らしき所へ行き、手をかざした。 「本来はこっちの小さい方の扉を使わせることにしているんですが、これだけの人数ですとこちらの方が早いですね、久しぶりに開きますよ。  …………その服装、制服って言うんでしたっけ? 学生さんですか?」 「はい、高校生です」 「でしたらこちらの世界にも同じように学び舎がありますので、いずれ編入すると思いますよ」 「そうですか、ありがとうございます」 「いえいえ、では、改めて歓迎します。ようこそテスティアへ。そして、ようこそテリアへ」  テリアというのはこの国の名前だろう……。下から上へ門が上がるのを、俺たちもまた下から上へ首を動かして見上げた。異世界の町か……わくわくするな。大きなテーマパークに入る気分だ。
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