第二章

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「すっげぇ……」  ゲームの中で出てきたファンタジーの世界が、目の前にあることに俺は感動を覚える。日本とは違い高層ビルなんてものは建っておらず、日当たりがいい。  少し汚れた赤い屋根の家が横並びになっていて、道の幅もそこそこ広く、ところどころに何か売っている店が見える。商店街を開放的にした感じだ。木や花もちらほらと見え、豊かの一言に限る。 「直人、あれ城だよな?」  周囲を見回していると、一際豪華な建物が目に入った。外壁の外から見えた数少ない建物の一つだ。他にも金のかかっていそうな建物は見えるが、中でもあれは頭一つ抜きん出ている。 「王城だな。テスティアは貴族や王といった階級があるからな」  へー、と適当に返事をしながら俺は王城を見る。一度でもいいから入ってみたい。……と、ここで龍宮から指示が入った。 「後でいくらでも見れるので今は我慢して下さい! ひとまずはギルドに向かいます!」  ギルドへの道なんていつ聞いた? と思ったが先ほどの門番から聞いたのだろう。さすがとしか言いようがない。  ギルドは大きく分けて二つの種類がある。サポートギルドと冒険者ギルドだ。  サポートギルドは、その名の通り補助をする為にあるもので、町の物資の補給、相場の管理、後は一時的な宿泊等等、様々な用途がある。俺たちが向かっているのもこのギルドだ。  冒険者ギルドの方は、某狩りのゲームよろしく依頼を受けたり、酒場の様な用途を持っている。酒場というよりは、情報交換の場として使われているらしい。  依頼の種類はおもに討伐系・捕獲系・採取系の他に、調査系があり、調査系の中には、犯罪者を殺して欲しいという内容の依頼などもあるらしい。  また、国の公認無しで存在する闇ギルドというものも存在する。こちらは便宜上ギルドと読んでいるだけであり、簡単に言えば犯罪者の溜まり場というものだ。  確か犯罪都市なんてところもあったはずだが、今はどうでもいいだろう。俺たちは龍宮の案内の元、ギルドへ向かった。
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