第二章

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 ギルドに入ってすぐ、龍宮はまず、入口付近は通行人の邪魔になる可能性があるという理由で、ギルドから少し離れた所に皆を待機させた。  ギルドに入ったのは龍宮と瀬川の二人だけ。この短い間に随分と仲良くなったものだ。  しばらく待っていると、ギルドの中から一人の女性が出てきてこちらへ向かってきた。 「皆さん、私はこのギルドの受付を勤めさせてもらっているアリナと申します。今からテリアの国民登録と、パーソナルカードの作成を行うので二十人ずつこちらへどうぞ」 (――! 来た! 来た来たキターーーーー!)  「……なあ宗一、パーソナルカードってよくわかんないんだけど、保険書みたいなやつかな?」 「違う、ぜんっぜん違う! 直人、おまえは馬鹿だなあ! いいか、落ち着け、パーソナルカードっていうのはつまりはステータスってことだ!」 「いや、おまえが落ち着けよ。……で、ステータスってよくゲームとかに出てくるあれか?」 「そう、あれだ!」 「あ~なるほど、そりゃあ楽しみだな。自分が何に長けてるかとかよくわかるし」  パーソナルカードについてだけは必死に勉強したからな、本当に楽しみだ。テスティアについて学んだ時、ふとステータスのことを知った。  他にも、テスティアにはゲームに類似した仕組みがいくつかある。そもそも、アース人にとってテスティアは、剣と魔法のファンタジーな世界だ。仮にステータス制度が無かったところで俺が興奮するには十分すぎる。  ――俺はこの世界に……ゲームの世界に行きたくて行きたくて仕方なかったのだから。 (しかしちょっとまて、ちゃんとステータスポイントは割り振れるんだろうな……?)  ステータスポイントについては教科書にもどこにも載っていなかった。ステータスがあるということで自然とポイントも割り振れるものだと思ったが、何もステータスは数値だけではない。中にはアルファベットで強さを表すのみの物もある。  無論俺はポイント制の方が好みだ。 「あの、アリナさん。質問してもいいですか?」 「はい、どうぞ」
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