第二章

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「なあ宗一、なんであんなこと聞いたんだ?」 「いや、いまのうちに何を上げるか考えておこうと思ってな」 「ふ~ん、よくわかんね」 「そのうちわかるだろ」  半ば無理矢理直人を黙らせ、俺は思考に没頭する。ステータスのどの項目にポイントを割り振るかだが、まず攻撃と俊敏は決定。持久力とかもあればそこにも少し割り振ろう。  安全に行くには体力や防御にも振るべきだが、それだと中々強くならない。極振りまではいかなくとも、できる限りは絞っておきたい。  ゲームだと本当に強いキャラを作りたいならば、極振りとステータス補正のある装備を組み合わせるのがセオリーだ。  そういった装備がテスティアにあるかどうかわからないが、生憎この世界は画面越しではないのだ。  俺たちは装備の性能の他に、装備の重さ、動き易さも考慮しなくてはならない。そのあたりを考えると、装備の補正に頼り切るのは少し躊躇われる。 「では次、どうぞー」  順番が来たみたいだ。受付の案内の元、俺たちは奥の部屋へと進んでいった。 「このカードを手に持って、そのままそこの推奨にかざして下さい。軽く光ったら完了です。国民登録も同時に行なっていますのでご安心を」  科学のない世界といっても、しっかりと技術は発展している。手軽さを求めるならむしろテスティアの技術の方が合っているのかもしれない。  アースは良くも悪くも確固たる証明が求められる。空港のパスポートでもそうだろう。重要なことは機械を使わず、人の手と目で確認される。 (……お、今光ったな)  渡されたカードを右手に持ち、しばらく水晶にかざしていると、カードが優しく光った。パーソナルカードの完成の合図だ。 (どれどれ……)  パーソナルカードには名前、年齢、滞在国、とステータスが書いてあった。
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