第二章

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 この後は長い説明会になるそうなので、部屋へ戻り、事前に配られたシンプルな部屋着に着替えて、受付に指定された部屋へ向かった。  いくつもの椅子が階段状に並べてあり、中央に教卓らしきものがある。大学の授業風景もこんな感じだったはずだ。 「では、これより皆さんに今後の方針をお伝えします。説明を務めさせていただきます、カリュエイと申します」  丁寧な口調で中央に立っている、スーツを着た男性が言った。俺たちはメモを取る準備をする。 「まず、皆さんにはアスティア学園に通ってもらいます」  これは知っている。テリアに来る際に門番が龍宮に言っていたということもあるが、学校でも習った。 「以前アースから来た方から聞いてますが、アスティア学園については学んでいるようですね。一応確認として言っておきますが、アスティア学園に通う目的は『テスティアの常識を知ること』、『独立する力を身につけること』の二つに限ります。  独立に関しては様々な場合がありますね。例えば、魔法の力を国に認められることによって成れる国家魔法士や、護衛や門番を務める騎士団、上位階級の方たちを守る近衛隊といった、こちらの世界特有のもの。  また、店を開いたり、物作りに勤しんだり……といった、そちらの世界にあるものもあります。  いずれにせよ、独立にはお金が必要となります。テスティアはアースと比べて将来の自由度が高いです。そちらの世界でいう、ニートというものはテスティアには数多く存在します。正確には正しい職を持たない人ですね。  例えば、冒険家。彼らはギルドの依頼を達成し、その報酬で衣食住をまかなっています。冒険が好きな方は一箇所に留まらず、常に世界中を回りながら依頼を遂行して生活していますね」  ニートが多いのか、なら俺がなってもそう目立つまい……。 「――さて、では早速明日、皆さんはテスティア学園に入学してもらいます。制服と筆記用具、それと案内書を配りますので一列に並んで順番に来てください」
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