序章

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異世界の存在が確認されたのは今から二十年前になる。  突然、世界各地で大きな地震が発生。そしてそれと同時に突如現れた謎の化け物。  いくつもの動物を足して割ったような姿をしたその化け物は、いずれもこれまでに類を見ないものであり、出現と同時に目の前にいる生物を見境なく喰らい始めた。  絶体絶命の人々を救ったのは、これもまた突如現れた謎の人物たち。  急に各地に現れた彼らは、剣や弓を使ったり、あるいは杖を片手に炎の柱を出したりして、颯爽と化け物たちを退治していった。  しかしこのあまりの展開に、人々の混乱は、化け物たちが倒されたところで収まらなかった。  そんな中、彼らは人々にこう告げた。 「我々は異世界から来た、異世界人です」  気を取り戻した世界政府は、すぐにその異世界人を一箇所に招集し、矢継ぎ早に質問していった。  君たちはなんだ? 「我々は異世界から来た、異世界人です」  異世界とはなんだ? 「この世界とは違う、もう一つの世界。この世界のパラレルワールドのことです」  突然起こった地震と、現れた謎の生物は君たちの仕業か? 「違います。あの生物……魔物はこちら側の世界に生息するものです。現に我々はこの世界で魔物を討伐したはずです」  なぜ、その魔物とやらはこちらの世界にやってきた? 「近年、我々のいた世界……テスティアと、この世界……アースの境界が曖昧になってしまい、その結果、お互いの世界に存在するものが、不意に異世界に流れ込んでしまうことがあるのです。  最初は規模が小さかったのですが、徐々に大きくなってしまい、つい先ほど、魔物の流れ込みが初めて確認されたところです。無論、我々がアースに来たのも偶然です。  ……そちらに行方不明者などは出ていないでしょうか? 何人かはこちらの世界に流れ込んできていることが確認されています」  丁度そのころ、各国で謎の失踪者が続出していることが世間的に知らされており、異世界人のこの一言は、話を聞いている者を、僅かながら納得させる力があった。  そこからは異世界人の説明が始まった。
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