第一章

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 俺の名前は柳宗一(やなぎそういち)。重度のゲーマーだ。  ……順序を間違えた、まずは容姿から。身長百七十弱、体重五十七。日本人特有の黒い髪はどちらかといえば長く伸ばしている方で、前髪は目にぎりぎりかからないくらいだ。  現在高校一年生。成績は中の中。つまりはど真ん中。特に特出した点もなければ、目立つような欠点もない。強いていうならそう。俺はゲーマーだ。  俺は中学二年生という中途半端な時に転校し、今更……といった理由で転校先では帰宅部だった。  元々体を動かすのが好きだった俺にとって、帰宅部というのは思う以上に苦痛であり、毎日のように暇つぶしを求めてはさまよっていた。  そんな時だ。ふとリビングに置いてあった妹のゲームが俺の目に入ったのは。  その頃はゲームとは疎遠だった俺は、興味本意で少しだけやるつもりだったのだが、思えば何故あんな超大作RPGをチョイスしたのだろう。気が付けばゲームに没頭。放課後は部屋でゲームが俺の日課になった。  と、まあこれが俺がゲーマーになったきっかけである。どうでもいいことなんだけども。 (今日は何しよ……そういえばまだあのゲーム全クリしてなかったな……)  すっかりインドア派になってしまった俺は高校でも部活に入るつもりはなく、現在進行形でゲーマー人生を謳歌している。  ちなみに好きなジャンルはRPGとアクション系。あの重厚なストーリーと、敵を倒す爽快感がなんとも言えない。 「宗一、今日おまえの家行っていい?」  そう話しかけてきたのは友人の平元直人(ひらもとなおと)。ゲーマーとまでは言えないが、たまに俺の家にゲームをしに来る。入学したばかりにしては中々の友好関係だ。 「ああ、いいぞ。今日は何をする?」 「んじゃあ、あのダークファンタジーのやつで!」  ああ……あれか。あれは鬼畜なゲームとしてそこそこ有名なんだよな。  と、まあ適当に雑談している今は放課後だったりする。なので教室には人影がちらほらと見える程度だ。
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