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「龍宮のやつ、相変わらずモテモテだな~、隣にいるの瀬川だろ?」
歩いて数十分、緊張感も徐々に薄れてきたのか、直人だけでなく他の皆も軽く雑談できるくらいには落ち着いてきた。
「瀬川友穂(せがわゆうほ)だっけ……? 俺はあんまり知らないけど学校じゃあ有名だよな」
「そりゃあ、あんだけ可愛けりゃあ有名にもなるわなぁ……」
くっそー瀬川も龍宮に盗られるのかー、と直人はぼやいて前を向いた。
実は俺が瀬川を知らないっていうのは嘘だ。俺はあいつを知っている。むしろそこらの奴よりかはよく知っているはずだ。
瀬川友穂……彼女は俺と同類、つまりゲーマーなのだ。
確か高校入学したばかりの時、その日はオンラインゲームをしていたのだが、そこで俺並みの廃人プレイヤーと遭遇。
これも何かの縁と思い、軽くチャットをしていたのだが、自己紹介をしているうちに同じ高校だということが判明。入学したばかりと聞いたので、名前を聞いたら所々を伏せて教えてくれた。
それから高校で調べたところ、その人が瀬川友穂だということがわかった。
嘘をついている理由だが、瀬川は誰から見ても容姿が整っている。どちらかといえば小柄な体型に、長い絹のような髪をなびかせている。
これでもしあいつがゲーマーだと知ったらイメージはがた崩れだろう。有名な分、いじめにまで発展するかもしれない。
「しかし、ここはもう既にテスティアなんだろ? あんまり実感沸かないよな」
不意に直人が話しかけてきた。歩くだけっていうのも退屈だもんな……。
「俺らより前にテスティアに来たアース人が色々と教えたって習ったな……」
頷く俺に、直人はそうじゃねえよ、と言って……
「文明文化以前に、なんというか……こう、ファンタジーっぽくないな~って」
「ああ、なるほど。確かに空を飛んでる人とか見ないな。まあ国に着いたら見れるだろ。俺たちも魔法が使えるようになるんだろ?」
『力』の世界、テスティアは魔法というものが存在する。魔法はテスティアに住む者は誰でも使うことができ、それはアース人も例外ではない。
「楽しみだな~、宗一、もし使うならどんな魔法がいい?」
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